第43章

サン・ロット帝国の皇帝――サン・ロット八世もまた、優れた魔法使いだった。

国事に追われて修練は滞り、研究に没頭する時間もない。だが、基礎を白紙に戻すほど衰えているわけではない。六級の魔導士として、世にある大半の魔法は理解しているつもりだった。仮に自分で扱えずとも、名くらいは耳にしている。……にもかかわらず、ロゲスト公爵の口にした「従魔契約」なるものは、彼の知る体系のどこにも存在しなかった。

もしそんな魔法が本当にあるのなら、たとえどこかの国の秘術であれ、特定の家の奥義であれ、あるいは個人の秘蔵であれ――誰かが一度でも使った時点で、必ず痕跡が残る。伝聞でも記録でも噂でもいい。完全に無名のま...

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